英語指導吉田塾 塾長ブログ

東京は池袋と渋谷で英語専門塾を営んでいる塾長の呟き

ある受動態が文法的に正しいか否かを判断する方法

ある受動態の文が文法的に正しいか否かは、その受動態の文を能動態にしたときに正しい形になるかを確認することで判断可能です。例えば次の英文を見て下さい。

(a) She is said that she is a good pianist.(×)

結論から言うとこの受動態を用いた英文は非文です。というのもこの英文が正しいためには・・・

(b) People say her that she is a good pianist.(×)

という能動態の英文が文法的に「あり」でないといけないからです。

しかし、辞書で say の語法を調べてもらえばすぐにわかりますが、 say は人を目的語に取れません。次の例文を見て下さい。

(c) He told his mother that he would clean his room by himself.(〇)

(d) He said to his mother that he would clean his room by himself.(〇)

(c) と (d) はどちらも「彼は母親に自分で部屋を掃除するつもりだと言った」という意味になります。この2つの英文を見てもわかる通りtellは人を直後におく(=目的語にする) ことができますが、say はこれができず to という前置詞を使わないと his mother という名詞をつなげることができません

というわけで say が人を目的語に置く形(= say her that・・・)を前提とした (a) は非文ということができます。

では say を使って「・・・と言われている」という意味の受動態を作るにはどうすればよいのか?を考えてみましょう。

(e) Many people say that she is a good pianist.(〇)

 (多くの人々が彼女はピアノが上手だと言っている)

この英文の目的語は she ではなく that 節全体です。したがってそれを主語にして受動態を作ることが可能です。

(f) That she is a good pianist is said by many people.(△)

ただし実際はこのような形はほとんど見られず、以下のように「形式主語のit」を使って表されます。

(g) It is said that she is a good pianist by many people.(〇)

また、これとほぼ同じ意味を次のように she を主語にしても言うことが可能です。

(h) She is said to be a good pianist by many people.

ただし、 (h) を能動態にした形は実際には使われず非文とされています。

(i) Many people say her to be a good pianiast.(×)

いかがでしたでしょうか?完全に同じ論理で説明しきれないのがもどかしいところですが、英語に限らず言語にはこのような側面がありますので暗記すべき部分は暗記しましょう!

See you next time!