日本語を母語とする学習者が英語を学ぶ場合にローマ字を知っていることが役に立つのか立たないのか(あるいは弊害があるのか)は指導者により考え方は様々でしょう。個人的にはローマ字を知っていることは英語の初学者にとって
「功>>>罪」
くらいでプラスの側面が多いと考えています。理由は2つ。
①英単語の発音はアルファベットの持つ音により構成されていると学べる
②母音子音共に1つの音のみを表すので簡単に覚えられる
①について
英語を初めて学ぶ小学生や中学生のなかには cat は「キャット」で cake は「ケイク」と読めるけれども c が「ク」という音を表す記号だとか a は「ア」とか「エイ」という音を表す記号(=表音文字)だという認識がない人が結構います。
しかし、少なくともローマ字を習っていれば「アルファベットという文字の一つひとつが音を表す記号であり、その組み合わせで単語の読み方が決まる」という意識を持つことができます。もちろんローマ字は古代ローマ人の言葉(=ラテン語)の読み方であり、英語には英語のアルファベットの発音の仕方(=a が「ア」と「エイ」と発音される等)があるのですが、全く異なるという訳でもないので、ある単語の大まかな方向性はつかめるのです。
children → チルドレン?
breakfast → ブレアクファスト?
animal → アニマル
*Lはローマ字にはないですが「エル」と知っていればラ行の音だとすぐ学びます。
くらいにはいけるはずです。これはある単語がどのように発音されるかが皆目分からないという状態よりかなり英語学習のハードルが下がるのではないでしょうか。
②について
ローマ字では a は「ア」であり k と組み合わせられて ka となっても「カ」となり a が持つ音は同じです。よって後は組み合わされる子音の音を知っていれば
a ア
ka カ
sa サ
ta タ
na ナ
と機械的にあてはめて行けばその文字の表す音を知ることができます。
「最初から『フォニックス』(=英語におけるアルファベットの発音のルール)を学べば良いのでは?」と考える人も多いのですが個人的には「フォニックス」はルール自体の数が多く、例外も多いので初学者にとっては心理的ハードルが高いのではないかと考えています。
これは吉田塾では「フォニックス」を全く教えないということではなくアルファベットの各文字の持つ音やいくつかの2文字の発音(=chは「チ」でshは「シ」等)やいわゆる「マジック e 」(=発音しない eが末尾にある場合は直前の母音はアルファベットの名称と同じになる。cake, make, excite 等)くらい学んだら、あとはどんどん実際の英単語でスペリングとその発音を実地に学ぶのが良いということです。
русский язык
*発音は[ˈruskʲɪj jɪˈzɨk]ルスキーイジック(と聞こえました!)
みなさんこれを発音できますか?これはロシア語で「ロシア語」という意味らしいのですが、英語の教科書がこんな感じに見えていたらさすがに英語が嫌いになっちゃいますよね・・・。少なくともこれが Russian で「ルシアン」(実際はラシアンに近い)くらいに脳内で再生できたら英語学習のハードルは下がるよね、という話でした。
See you soon!